男着物の生地をご紹介しています。
A. ちりめんの生地とは、生地の表面に細かいシボという凹凸がある着物生地のことを言います。生地の表面が、細かい凹凸があるため、それが魚のちりめんを干している状態に見えることから、ちりめんという生地の名称がつけられたそうです。
単にちりめんと言えば、ご飯のおかずのちりめんじゃこを思い出してしまいますが、着物愛好家の間でちりめんと言えば、生地の種類を思い浮かぶように名称が定着しています。
ちりめんの生地は、主に白生地の状態で産地名から大きく分けて、丹後ちりめん、浜ちりめんなどがあります。白生地から染めて作る生地は後染めと言い、先染めの織物と区別されています。
一般的に、女性の着物は後染めの染めものが多く、ちりめんの白生地を無地に染めたり、型紙で染めた小紋や、友禅の柄などを置いた訪問着や振袖、留袖など幅広く利用されています。
男性の着物でちりめんの生地といえば、白生地から染めた着物ですので、風合いが柔らかくしなやかなのが特徴です。これは主に江戸小紋の染めによく使われておりますので、その他別誂え染めの着物や無地に使われています。
当店の場合は、装いの雰囲気を考え、江戸小紋染めはちりめんの生地を使いますが、無地染めした着物生地としては生地が足らんと柔らかすぎるために、あまりおすすめしていません。また、湿気を含むとある程度の生地の収縮も見込まれますので、取り扱いも少し難しいため、初心者の方には積極的におすすめいたしません。ただし、ちりめんの生地を用いた無地染めの羽織はしなやかな風合いと特有の雰囲気を持ちますので、しゃれた着物にこの染め羽織をおすすめすることもあります。あるいは、袖なし羽織にしても素敵な雰囲気が出せます。
ちりめんの生地でも、たんごちりめんは全体の生産量の3割以上、浜ちりめんは2割前後と少ないものですが、一般的には浜ちりめんの方が品質が高いものと認識されています。反物幅も男性用に一尺五分と一尺一寸が出ています。一尺一寸幅の白生地は特殊なもののため、入手は少ないものになります。別誂え染めをご検討する方には、ちりめんの白生地を使ってオリジナルの装いを作ることもできます。