男着物・家紋についてをご紹介しています。
Q. 我が家の家紋は、丸なしの下がり藤と聞きました。
丸なしとは、どのような意味でしょうか?
A. ます、家紋には、丸付きと丸なしがあります。次の家紋をご覧下さいませ。
男性の家紋は、関西ですと丸付にすることが一般的のようです。
地方によって詳細な習慣は、異なるとも思いますが関東地方では、丸付の家紋と丸なしの家紋の両方があります。上の写真のように、同じ下がり藤でも、丸付と丸なしは違う家紋になります。
家紋を依頼する時に間違えやすいのは、例えば、自宅に家紋が丸付であるのに関わらず、当家の家紋は下がり藤ですと依頼すると丸がつかない家紋で出来上がります。家紋の周囲に丸がついているかどうかは確認した方がいいでしょう。当店の場合は、丸がつなかい場合には「丸がついていないかどうかを、もう一度確認して下さい」と再度、確認することはよくあります。
また、下がり藤のような家紋は、定紋と言って紋帳に掲載しているごく一般的な家紋ですから、紋名を言っても分かりますが、紋帳に掲載していない家紋もよくあります。この場合、家紋を依頼するときは、出来る限り鮮明な写真データか、それに相当するものがあると安心です。あるいは着物についている家紋をコピーしたりして分かるように、呉服店に依頼するのがいいでしょう。
家紋は、詳細な部分でも表現が異なる場合があります。
同じ家紋でも、中には紋帳により、多少表現が異なる場合がありますので、注意を要する家紋もあります。
例えば、***
このような場合は、どの紋帳の紋名であるかを知っておくと間違いがなくなります。現在、紋帳は「平安紋監」と「紋典」の2冊が主流であります。このページの一部を印刷して保管されておいてもいいでしょう。
また依頼するときでも、多少混乱する場合がある紋があります。
例えば、家紋の名称では、木瓜(もっこう)と横木瓜(よこもっこう)は同じ意味になります。
三階松は、左に松が傾いているのが一般的ですが、同じ三階松でもまっすぐに松があるもの、右に傾いているものなどもあります。「三階松」だけで、お願いすると、左に傾いている一般的な三階松で出来上がってきたりします。これなどは間違いやすい家紋の例です。
二つ引きでも、「丸の内に二つ引き」と「丸に二つ引き」では丸の内側に線がはいるかどうかで異なります。違い鷹の羽の家紋は、羽根の左側が上になります。これらは家紋を扱う店では、常識的なことだと私は思うのですが、呉服店で勤めたばかりの店員さんの場合など家紋のことを聞いても、まったく分からないことも多いかも知れません。家紋については、わずかなことで自分のところにある家紋と異なる家紋が出来上がることもありえます。
染め抜き紋などは、場合によっては、簡単に直らないケースもありますが、万一家紋が異なっている状態で出来上がったとしても、通常は紋直しで綺麗に修正することが可能ですので、着物が必要以上に傷んでしまったなどということはまずありえないはずです。
どちらにしても、家紋を入れるようなきちんとした着物は、呉服店でも詳しい担当の方ならば、色々と教えて下さると思います。その上でお願いするのがいいと思います。一番いいのは、我が家の家紋を名称だけでなく、家紋が鮮明に分かるように印刷されたものを控えにおいておけば、家紋をお願いするときに間違いがなくなり、祖先からの家紋を引き継ぐことが出来るでしょう。
家紋は、祖先から引き継がれたものです。大切に扱いたいですね。
家紋に興味が出てくると、自分自身のルーツを知る手がかりともなり興味深いことでしょう。