男着物・家紋についてをご紹介しています。
Q. 男性の紋付羽織を作る時に家紋がないのですが、どうしたらいいでしょうか?
A. 海外の方の場合には、海外在住の方は日本の家紋をお持ちのかたはまずおられません。紋章自体は世界の国々にで見るとヨーロッパの方と日本にしか存在していません。(「日本の紋章・ヨーロッパの紋章」の著作より)
ヨーロッパの紋章は、日本のものとはまったく異なります。日本の家紋というのは、世界で唯一のもので独自の発展を遂げたものです。紋層の成り立ち等はここでは省略いたしますが、日本に住んでいらっしゃる方はだいたいはご自分の家紋をご存知の方が多いでしょう。ただし、海外の方で日本の家紋を必要としている方は、奥様が日本人でご主人さまが海外の方というように国際結婚されう場合には、黒紋付袴を誂えたりする場合に紋はどうしたらよいでしょうかというご質問をお受けします。
当店のお客様の例で見てみましょう。
アメリカご出身の○○さんは、ご婚礼を機会に黒紋付袴を作ろうと思われ、当店にご来店されました。
家紋のお話になり、「私たちのような場合、主人はもちろん家紋はないのですが、紋はどのようにしたらよいでしょうか。」という質問を受けました。
そこで私は、「日本の習慣では、ご主人様のほうの家紋を結婚したときは引き継ぎますから、ご主人さまの家紋がない場合には、奥様のほうの母方の家紋を引き継ぐか、あるいは、この機会にご主人さまと話し合って、これから引き継ぐ家紋を決めることもおすすめできますよ。」とお話いたしました。
そして、○○さんと3千種類もある紋帳から、さまざまな紋を選びながら検討をはじめました。
私は、「デザインがよさそうな紋が見た目もいいですよ」とおすすめしました。
桔梗や橘などシンプルですが、図案によい家紋を紹介しながら、最終的にお選びになられたのは、法王の家紋でした。これはフェニックスという意味で英語でも理解が通じ、その格式高い家紋はとても喜ばれました。
もう一つの例では、家紋を両親や親戚等に聞いてもわからなかったというお客様もいらっしゃいました。
通常お墓にあったり、ご両親などの着物についていてわかるものですが、これはとてもめずらしい例です。居合の師範である、高梨先生は、そこでご自身で居合いのご指導をされているために、そのご自身の流派の紋として新しくデザインされました。ご自身の「高梨」という文字を図案化して、とてもよいデザインに仕上がりました。
このように、家紋が引き継がれていなかったり、どうしてもわからなかった場合には、ご自身で引き継ぐ家紋をご自身で決めるのも一つの方法です。